睡眠不足によって最も多くの人が体験するのが、強い眠気と全身のだるさです。人間の脳と体は、睡眠中にさまざまなメンテナンスを受けています。例えば脳では、日中に溜まった老廃物を「グリンパティック・システム」という排出機能が掃除し、神経伝達物質のバランスを整えています。また体では、筋肉や臓器が修復され、エネルギー源となるグリコーゲンが再補充されます。睡眠不足の状態では、これらの回復作業が不十分なまま翌日を迎えることになり、脳も体もフルパワーで働けなくなるのです。
その結果として、日中に強い眠気が突然襲ってきたり、頭がぼんやりして思考が遅くなったりします。これに加えて体のエネルギーが足りないため、全身が鉛のように重く感じられます。こうした倦怠感は「だるい」だけで済むものではなく、仕事中の集中力低下、会議中の居眠り、運転中の危険など、生活のあらゆる場面で大きなリスクを生みます。特に居眠り運転や工事現場での事故など、命に関わるケースも少なくありません。
さらに、強い眠気や倦怠感は精神的にも負担を与えます。自分の力を出せないことに焦りや苛立ちを感じ、自己嫌悪に陥ることも多いのです。周囲から「やる気がない」「怠けている」と誤解されると、人間関係においてもストレスを生みやすくなります。
つまり、眠気と倦怠感は単なる「体の疲れ」ではなく、仕事や家庭、社会生活全般を揺るがす深刻なペインです。「なんとか解決したい」と多くの人が強く願うのは当然と言えるでしょう。